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2025.05.22UP

【精肉店の勝ち残り戦略】通販をやるべきか否か、どう判断する?|食肉業界専門経営コンサルタントのブログ(2025.05.22)

吉田 圭良

吉田 圭良

コンサルティンググループ 食肉業界支援チーム
チームリーダー
シニアコンサルタント

Blog | Keisuke Yoshida

精肉店経営者様とお話ししていてよくあるご相談の一つが、

「うちも通販に力を入れるべきでしょうか?」

というもの。

 

通販市場が明らかな拡大基調であることはおそらく誰もが知っていて、

「通販やらないと!」と感じていらっしゃるでしょう。

一方でデジタルスキルの有無や、サイト制作・広告宣伝にかかるコスト、日々の作業の忙しさに人手不足などから、

「どこまで力を入れるべきなのか・・・」

というところの判断で迷っているという経営者様によくお会いします。

 

そのようなときに、わかりやすい判断材料が得られるひとつの方法が、「シェア理論」です。

 

【1】そもそも「シェア理論」とは?

経営の世界でよく使われる「シェア理論」とは、

市場の中で、自社がどれくらいの“支配率”を持っているか

をもとに、「今は守りを固めるべきか」「攻めて広げるべきか」を判断するための考え方です。

とくに、新たな市場(=たとえば通販)に手を出すべきかどうかの判断軸として有効です。

【2】精肉店を例に考えてみましょう

あなたが店舗を構える町に、精肉店が3店舗あるとします。

この町の精肉購入者全体で、年間の肉の購入金額は3億円とします。

仮にこの条件であなたのお店の売上が…

▶ ① 900万円なら、市場シェアは3%

→ まだまだ新規客が多く、知名度も低い。

通販強化よりも、まずは地域内のシェアを上げるべき段階。

▶ ② 3,000万円なら、市場シェアは10%

→ 「ちょっと知ってる店」くらいの存在感。

→ 店頭集客と並行して、ECでのテスト販売(お弁当やギフト)を検討する価値あり。

▶ ③ 9,000万円なら、市場シェアは30%

→ 地域では有名店、常連も多い。

→ この段階からは、「ECを通じた商圏拡大」が有効な攻めの手。

▶ ④ 1億5,000万円なら、市場シェアは50%

→ もはや地域でのシェアが限界。

通販で「町の外」に顧客を持たないと、これ以上は成長しないフェーズ。

このように判断できますね。

【3】なぜシェアを見ないと“通販の罠”にはまるのか?

多くの精肉店が、以下のような状況でECに挑戦します:

「店頭の売上が伸び悩んでるから、通販やろう!」

→ サイトを作っても、誰にも知られない

→ 掛けた時間とお金に見合う成果が出ず、失敗と判断

これこそ、「地元でのシェアを取る前に、全国に出ようとしてしまう」失敗例です。

【4】シェア理論で考える通販戦略:判断フロー

シェア 状況 やるべきこと
〜5% 無名〜新興 ECよりまず「町内でファンを増やす」
5〜20% 認知獲得フェーズ 「限定商品」などで試験EC開始
20〜35% 安定成長フェーズ 「ふるさと納税」「LINEギフト」など広域チャネルへ
35%以上 商圏飽和フェーズ 本格的に「自社EC・楽天・Amazon」強化へ

【5】成長とは、「今いる場所を極めてから、次の場所へ移ること」

通販は「打ち上げ花火」ではなく、「地続きの成長戦略」です。

今の自分たちが、“どのフェーズにいるか”を冷静に見つめることで、通販強化が“攻め”か“逃げ”かを判断できます。

✅ 通販の前に、自分たちの「商圏シェア」を見直そう

✅ シェアがまだ低ければ、ECは実験で止めておく判断も“戦略”

✅ 「ECをやるかどうか」は、“どこまで来たか”で決める時代

「通販の前にやるべきことがある」——

「うちは通販を拡大しなければこれ以上はない」ーー

正しい現状把握に基づいてそう気づいたとき、

あなたの店はすでに“正しい成長路線”に乗っています。

自店のシェアがどれくらいなのかを知るには、まず商圏内の市場規模をしっかりと把握する必要があります。

我々は店舗のマーケットシェア算出サポートも行っておりますので、

「正しい経営判断」に迷われたら、まずはお気軽にご相談ください。

吉田 圭良

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