2025.05.29UP
【精肉店の勝ち残り戦略】精肉店での「入口商品」は「精肉」か?「惣菜」か?|食肉業界専門経営コンサルタントのブログ(2025.05.29)
ー精肉店での「入口商品」は「精肉」か?「惣菜」か?ー
つい先日、とある精肉店様の会議にて、「ストアショップカードのポイント付与条件は、精肉購買を促進する目的を持つべきか、惣菜購買を促進する目的を持つべきか」という会議を行いました。
消費者の行動様式が「ついで買い」から「目的買い」へと移行する中で、精肉店も“文脈づくり”が求められています。
特に、「入口商品」と「リピート商品」の関係をどう設計するかは、集客力・顧客育成力を大きく左右します。
こちらの精肉店では「まず惣菜を!」という結論に至ったのですが、店によっては別のストーリーも当然あり得ます。
どのようなパターンがあり、それぞれどのようなメリットデメリットがあるのか、整理しておきましょう。
目次
パターン①:惣菜→精肉
✅ 特徴
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「今日は食べるだけ」→ 惣菜を購入
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→「このお店のお肉、味がいいな」→ 精肉にも興味
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→ 「今度は自分で焼いてみよう」→ 精肉のファンに
✅ 向いている店
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立地:住宅地/駅近の生活導線上
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客層:仕事帰りの単身層、忙しいファミリー層
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商品:揚げ物惣菜(メンチ、カツ)、弁当、煮込み系など
✅ メリット
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ハードルが低く、まず「味見」から入れる
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平日客・ライトユーザー層を取り込みやすい
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惣菜の回転が速く、来店頻度が上がりやすい
⚠ デメリット
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惣菜の味が良くないと精肉へ波及しない
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厨房オペレーションが重くなりがち
パターン②:精肉→惣菜
✅ 特徴
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「週末はちょっと良い肉で」→ 精肉購入
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→「この部位、こう調理したら美味しそう」→ 惣菜も併せて購入
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→「平日もここの味を手軽に食べたい」→ 惣菜のリピートへ
✅ 向いている店
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立地:郊外型/目的来店型
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客層:ミドル〜シニア層、ファミリー層
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商品:高付加価値肉(ブランド和牛など)
✅ メリット
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単価が高く、粗利も大きい
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「特別感」で差別化しやすい
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惣菜で「味の再現性」を訴求しやすい
⚠ デメリット
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初回購入の心理的ハードルが高い
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調理に自信がない層は離脱しやすい
🧩 結論:商圏や立地により最適解は異なるが…
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生活導線型/小型店・駅近店舗→「惣菜→精肉」型が有効
→ 例:昼のメンチカツ、夜のすき焼き用スライスへ -
目的来店型/郊外店舗・ブランド型店舗→「精肉→惣菜」型が有効
→ 例:土日焼肉セット→平日の牛丼弁当へ
提案:W入口戦略もあり
当然ながら、どちらかに絞るのではなく、入口商品の種類を分けて“Wエントリー”を設計する方法もあります。
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例:
平日入口:惣菜で集客(昼の食事・夕食)
週末入口:精肉で高単価訴求(BBQ・記念日用)
→ 週2回来店の流れが作れる
“文脈のある売場”は、単品勝負を超えて「お客様の生活」に溶け込みます。
入口からリピートまでの“筋道”を整えることが、選ばれる精肉店の第一歩です。