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2025.04.07UP

【精肉店の勝ち残り戦略】4割超の精肉店におけるキャッシュレス決済!未導入店舗は対応を急ぎましょう|食肉業界専門経営コンサルタントのブログ(2025.04.07)

吉田 圭良

吉田 圭良

コンサルティング事業部 食肉業界支援チーム
チームリーダー
シニアコンサルタント

Blog | Keisuke Yoshida

精肉店の未来は明るい!ただし時流への適応努力が必要!

― リアル店舗におけるキャッシュレス決済の時流について ―

コロナ禍を経て、生活者の消費スタイルは大きく変化しました。

そのなかで、**最も顕著に伸びたのが「キャッシュレス決済の利用率」**です。

現金しか使えない店は「不便」と感じられるようになり、特に若年層や共働き世帯、訪日外国人観光客にとっては、

「キャッシュレスが使えるかどうか」が“お店選びの基準”になりつつあります。

私の関係先の精肉店ではすでに、売上の6割が現金、1割がクレジットカード、3割がPayPayなどのQRコード決済となっています。

さらに、クレジットカードやQRコード決済の利用者は、現金払いと利用者と比べて客単価が高い傾向が顕著に出ていて、日によっては4倍もの差が開くこともあります。

本日は、精肉店におけるキャッシュレス導入の現状とこれからについて整理しましょう。


キャッシュレス化の現状と社会全体の流れ

経済産業省の調査によれば、

日本国内におけるキャッシュレス決済比率は、

2010年には約13%だったものが、2022年には36%超に。

特に小売・飲食の業種では、「QRコード決済(PayPay・楽天ペイ等)」の普及が進んでおり、

スマホひとつで買い物が完結する時代が本格化しています。

✅ 小売・食品業界の動向

  • スーパーマーケット:導入率90%以上

  • 小規模な惣菜店・精肉店:導入率は上昇中だが、地域差が大きい

  • 高齢層よりも30代以下の若年層はキャッシュレスが“当たり前”

 


導入が遅れる理由と、実は不要な“誤解”

多くの個人経営店がキャッシュレス導入に二の足を踏む理由はこうです:

  • 「手数料が高いから…」

  • 「機械の設定や管理が難しそう…」

  • 「現金のほうが楽だし、お客様もそうだから…」

しかし、実際には:

✅ 手数料は3.25〜3.75%程度が相場(現金管理の手間と比べれば十分妥当)

✅ 導入キットは**初期費用0円〜**も多く、タブレット1つでスタートできる

現金派=高齢者中心。その一方で若年層は「現金を持ち歩かない」傾向が強い


精肉店でのキャッシュレス導入がもたらす効果

✅ 【効果①】レジ業務の簡素化・スピードアップ

特にお昼どき・夕方など混雑時間帯の回転率が向上しやすくなります。

また、多くの精肉店では衛生のためのゴム手袋をつけているかと思いますが、会計専用スタッフがいない店では、ゴム手袋をつけたり外したりといった手間が発生しますね。この手間を省いているお店は要注意です。

GoogleMAPのレビューを見ていると実は、「ゴム手袋で現金を渡されて不衛生だ」という指摘の声が散見されます。こうしたネガティブな評価を避け、かつ手間を削減する意味でもキャッシュレスは大いに貢献してくれます。

✅ 【効果②】「ついで買い」の単価アップ

手元の現金に縛られないため、「もう1品」につながりやすくなります。

先述したように、関係先の精肉店では現金払いとクレジット・QRコード払いの客単価が4倍もの開きを見せる日もあり、総じてキャッシュレス型の方が客単価が高い傾向にあります。

✅ 【効果③】訪日客への対応・若年層への信頼性向上

インバウンド(外国人観光客)や20〜30代はまさに「キャッシュレス世代」。

こうした新しい客層を呼び込む上でも、重要な施策のひとつとなっています。

加えて私の母は今60代後半ですが、5年ほど前に孫が生まれたのをきっかけに本格的にスマートフォンを使い始めたかと思ったら、

半年後にはPayPay支払いを生活に取り入れており、今ではもうほとんど現金を持ち歩かなくなった、と言っています。

高齢者においてもこうした変化はすでに起こっているものと見てよいでしょう。


実店舗におすすめのキャッシュレス導入パターン

店舗規模 おすすめ手段 特徴
小規模店 PayPay・楽天ペイなどのQR決済 初期費用ゼロ。スマホとQRコードで簡単導入
惣菜販売併設店 Airレジ×Square or スマレジ×STORES POS連携で商品管理も同時にできる
観光地・多言語対応店 クレジット+電子マネー(iD, Suica等)対応機種 外国人客やビジネスマンに強い

 


今後の時流:「現金NG」のお客様は確実に増える

今後の見通しとして、

  • 公共施設・イベント・自治体の施設でもキャッシュレスのみ対応が進む

  • 2025年の大阪万博、地方観光地でのインバウンド需要も増加

  • 新社会人・Z世代の消費では「現金を使う」という選択肢が減る

つまり、「現金しか使えない店」は、選ばれにくくなる未来が待っているのです。


キャッシュレス決済の注意点:入金サイクルの長期化に要注意!

一方で、見逃してはならないのが、

「現金決済に比べて、売上の入金タイミングが遅くなる」という点ですね。

ただしこのデメリットにはすでに明確な対策があります。

デメリットを導入しない理由にせず、対策を講じて導入を促進していくことが、正しい時流への適応の仕方です。

✅ 入金サイクルの実態(例)

決済サービス 入金までの期間(通常) 備考
PayPay 月末締め → 翌月末払い(最長約30日) ジャパンネット銀行は即日も可能
クレジットカード(Squareなど) 月数回の締め日 → 5〜15営業日後 銀行により異なる
銀行振込 月末締め → 翌々月5日払い等 長期化しがち

✅ 入金遅延のデメリット

  • 現金仕入れとのタイムラグが生まれる

    → 現金払いで仕入れても、売上が1か月後にしか入らないと、キャッシュフローが圧迫される

  • 「資金がないから仕入れを減らす」悪循環に

    → 商品の充実度が落ち、結果的に売上もダウンする可能性がある

  • 月末・月初の支払いと入金タイミングがズレる

    → 家賃、光熱費、スタッフ給与など、固定費との支払いバランスを考える必要あり

✅ 対策のポイント

  • 「即日・週払い」に対応している決済事業者を選ぶ

    → Square、STORES決済、楽天ペイなど、一部は「最短翌日入金」にも対応可能

  • メイン口座を「優遇対象の銀行」に変更する

    → PayPayならジャパンネット銀行、楽天ペイなら楽天銀行などで入金が早くなることがある

  • キャッシュレス比率が高くなったら、仕入れ条件(掛け払い)も見直す

    → 支払いの「先送り」ができるように仕入先と交渉することで、資金繰りが安定しやすくなる

 


もう待ったなしです。今年を変革元年にしましょう。

キャッシュレスは「時流」ですが、同時に「資金繰り」の視点を持つことも大切です。

売上を伸ばすだけでなく、入金タイミングを踏まえた資金管理を徹底すること

導入前に、月末の入金スケジュール・固定費の支払いスケジュールを見える化すること

お客様の利便性と自社の経営安定、どちらも両立させる導入設計を進めていきましょう!

吉田 圭良

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