2025.04.03UP
【精肉店の勝ち残り戦略】肉用牛の飼養戸数・飼養頭数の推移から読み解く、小売シーンへの影響と時流|食肉業界専門経営コンサルタントのブログ(2025.04.03)
目次
精肉店の未来は明るい!ただし時流への適応努力が必要!
― 肉用牛の飼養戸数・飼養頭数の推移から読み解く、小売シーンへの影響と時流 ―
農林水産省の統計データによると、昭和35年(1960年)には約203万戸あった肉用牛の飼養戸数が、現在では36,500戸にまで減少していることがわかります。
なんと65年間で98%もなくなってしまったんですね。
2000年からの25年でも約70%が減少し、2020年からの5年でも約17%が減少しています・・・
一方で、1戸あたりの飼養頭数が着実に増加しながら、飼養頭数はある程度の水準を保ちっています。
供給の源泉であるこの変化は、食肉小売業における「仕入れ・価値訴求・販売スタイル」に明確な影響を及ぼしてきましたし、今後も変化を与え続けるでしょう。
本日はこのデータから、小売シーンへの影響と時流の読み解き方を考察します。
小規模生産者の減少が進み、仕入れ先の選択肢が変わった
「飼養戸数の激減」「1戸あたり飼養頭数の増加」この2つから読み取れるのは、明らかな肉用牛生産の大型化・集約化の流れです。
各地域に点在していた「〇〇さん固有のスタイルで育成された牛」というものが減り、いまでは、特定の大規模生産者や指定農場との取引が中心になってきていますね。
この流れは当然今後も続き、より一層これによる影響が顕著になっていくでしょう。
✅ 小売への影響:
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「地元の農家から仕入れる」スタイルが難しくなりつつある
-
よって、「”素材”での差別化」には特定牧場との関係性強化が重要に
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一方で、大規模生産の安定供給により、特定部位を大量に揃えやすくなってきているため、「”陳列”での差別化」が以前よりしやすくなっている
- 加えて、例えばカット・スライス、味付け肉や惣菜といった「”製法”での差別化」による付加価値づくりの重要度が増していく
1戸あたり飼養頭数の増加は、「大型経営への集中化」の象徴
現在では、1戸あたりの平均飼養頭数が10倍以上に増加している地域もあります。
つまり、「たくさんの牛を育てられる牧場」への集中が進んでおり、コスト削減と品質均一化の傾向が強くなっています。
✅ 小売への影響:
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品質が安定するため、特定部位のパック販売やセット商品に向いた肉が手に入りやすくなる
-
ただし、「画一的な味になりやすい」「希少性・地域性が伝わりにくい」というデメリットも
価格競争ではなく「物語性」と「使いやすさ」が勝負の鍵に
現在の精肉小売業に求められるのは、
ただの「肉の販売」ではなく、“誰が・どこで・どう育てたか”というストーリーを伝える売り方です。
また、共働き家庭の増加により、「使いやすい・すぐ食べられる肉」のニーズも拡大しています。
✅ 小売への影響:
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「少量パック」「用途別カット」「味付き」などの手間省略商品が増加
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「今日はすき焼き?それとも焼肉?」と選べる提案型陳列が効果的に
まとめ:データから見える「小売シーンへの影響と時流」
時流の変化 | 小売への影響 | 機会 |
---|---|---|
小規模農家の減少 | 地元仕入れが困難に | 地域密着型の関係性が強みとなる |
大型化・集中化 | 品質安定だが画一的に | 中小店ならではのニッチ戦略が活きやすくなる |
消費者の生活変化 | 簡便・時短・専門性ニーズ拡大 | 専門店ならではの接客や陳列が武器になる |
まとめ:これらを踏まえた「戦略設計のポイント」
📌「地域密着型の関係性という強み」を活かす
- 「誰が育てたか」「どこで育てたか」が見える商品に価値を乗せる
- 指定農場とのパートナーシップや、育成ストーリーをPOPやSNSで伝える
- 「特別な部位」「こだわりの飼育方法」など、商品ごとの価値となる“語れる要素”を強化する
📌「中小店ならではのニッチ戦略」を活かす
- 「赤身肉が人気」「ステーキ肉が人気」「塊肉が人気」といった店への特徴づけを行い、商圏を広げる
- 固有のRTE(Ready To Eat)/RTS(Ready To Serve)商品を開発する
- 「肉ケーキ」や「肉チョコ」のような肉ジャンル以外の大型ギフトイベントに参戦する
📌「専門店ならではの接客や陳列という武器」を活かす
- 肉そのものだけでなく、「調理提案」や「組み合わせ」の提案力を育てる
- 「精肉+惣菜」「精肉+たれ」など、単価・満足度アップを狙うセット化を促進する
- 大量仕入れよりも、「目利き」としてのセレクト力を前面に打ち出す演出を強化する
もう待ったなしです。今年を変革元年にしましょう。
「牛がどこでどう育てられているか?」という統計データは、
私たちの販売スタイルや売れる商品設計のヒントそのものです。
✅ 価格で勝負する時代ではなく、「価値を語る力」が問われる時代
✅ 大型化の流れが進むからこそ、「選ばれる理由づくり」が重要に
✅ 消費者目線で、「すぐ使える・買いやすい」売場を整えていきましょう!