2025.04.14UP
【精肉店の勝ち残り戦略】精肉店でのパック売りはアリか?ナシか?|食肉業界専門経営コンサルタントのブログ(2025.04.12)
精肉店での“パック売り”、アリかナシか?
時々精肉店様にて商品会議を行っていると、「パック売りの是非」についての協議が発生します。
「パックにして売るなんて、スーパーと同じじゃないか」
「対面計量販売こそが精肉店の価値だろう」
どちらかというとそういった声の方がよく聞かれますが、
“パック売り=悪”と決めつけてしまうのは、少しもったいないかもしれません。
大阪市内のとある精肉店様では、あらかじめ200gに計量された牛切り落とし肉が竹皮に包まれて陳列されており、
常連客の多くが「2つください」「3つください」といった形で注文をいれ、高回転している様子がうかがえます。
本日は、精肉店における「パック売り」のメリット・デメリット、そして“活かし方”のポイントを整理します。
目次
パック売りの“アリ”な理由
当たり前ですが、全てのお客様が専門店で「コミュニケーション」を求めているわけではありません。
品質・コスパは専門店に価値を感じるものの「スムーズな購買体験」という点では量販店に劣る、という見方もあります。
✅ 精肉店といえど、お客様の生活は“時短・即決”を求めている
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特に共働き世帯や一人暮らしの若年層は、「選ぶ・相談する・待つ」が面倒と感じることも
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「ぱっと取って、ぱっと帰れる」=安心してリピートしやすい売り方
✅ 「買いやすさ」は“売上をつくる力”
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初来店や非コミュニケーション派のお客様にとっては、パック売りこそが入口になる
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店員と話さなくても、価格・量・用途が明示されたパックで買いやすくなる
パック売りの“ナシ”な理由(リスク)
一方で、「スーパーとの差別化」という点ではパック売りは懸念事項が生じることも確かです。
また、規格化=見込み製造が必要となるため、在庫ロスの可能性も生まれることでしょう。
✅ 専門店としての価値が伝わりにくくなる
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パック売りだけだと、「スーパーとの違いが見えにくい」
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特に“希少部位”や“切り方提案”など、職人の技が埋もれてしまう可能性がある
✅ ロスや在庫過多のリスク
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想定より売れなかった場合、廃棄や値引きが発生するリスク
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当日の気温・曜日・客層などに応じた“読み”が必要になる
結論:「パック売り」は“使い分け”が正解!
メリットとデメリット双方を考えると、パック売りそのものが「ダメ」なのではなく、
「目的に応じて正しく活用すること」が重要であるとわかります。
✅ 導入すべきパターン例
パック売りに適したケース | 理由・メリット |
---|---|
平日の夕方 | 時短ニーズの高いお客様が多い/即決を促せる |
惣菜や加工品 | その場で手に取って買いやすく、衛生的にも◎ |
特売や限定品 | 限定数量を明示できる/POPとの連携がしやすい |
客足の少ない時間帯 | 無人でも販売でき、機会損失が防げる |
実践ポイント:「パック売りでも、専門店らしく」
✅ “あえて1つずつコメント入り”のラベルで付加価値を出す
→「焼肉専用カット」「しゃぶしゃぶ向き」など、プロの視点を伝えることで、“ただのパック”を“提案型商品”に変える
✅ パック商品は“定番”より“変化球”に向いている
→「希少部位の少量盛り合わせ」や「味付け済み焼肉セット」など、**スーパーにない“理由あるパック”**を作る
✅ 「迷ったらこちら!」の“導線用パック”を活用する
→ 対面での注文につながる前段階として、「これで様子を見る」用のパックを置くことで来店ハードルを下げられる
もう待ったなしです。今年を変革元年にしましょう。
時代は、「自分に合った店」が選ばれる時代です。
対面販売の強みと、パック販売の利便性を組み合わせることで、
精肉店としての価値を保ちつつ、より多くのお客様それぞれにとっての「適切な販売形式」を取り入れることができます。
✅ パック売りは「効率化」だけでなく「集客戦略」でもある
✅ 使い方次第で、精肉店の強みをより伝える手段にもなる
今こそ、“対面 × パック”のハイブリッド化を進めましょう!