2026.02.12UP
食肉卸現場でのデジタル活用、進んでいますか?【3分で時流適応度チェック】

食肉卸現場のデジタル活用、あなたの会社は「どの段階」?
「デジタル化は必要だと思っている」
「何かしらは取り組んでいる」
多くの食肉卸の現場で、こうした言葉を聞くようになりました。
一方で実際には、
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忙しさは変わらない
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人手不足は解消しない
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利益率も大きく変わらない
という状態が続いているケースも少なくありません。
その理由は多くの場合、デジタル活用そのものを“誤解”していることにあります。
目次
1.卸現場でよくあるデジタル活用の勘違い
まず多いのが、次のような考え方や行動です。
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いきなり入れるシステムを選別しようとする
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魅力的に見えるツールをどのように使うかから考え始めてしまう
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日々の忙しさの理由や業務を言語化できていない
実際に業務の効率化・整理が進んでいる現場では、
必ずしも高度なITの導入や大規模投資は行っていません。
まず重要なのは、「業務をどう回しているか」を整理・可視化することです。
ツール導入はあくまで手段であり、目的ではありません。
私が効率化のお手伝いをさせて頂いたいくつかの現場では、
約半日を掛けて徹底的に現場の方々からヒアリングさせていただき、いつもの業務を「図解」するところからはじめています。
人・モノ・カネ・情報がどこからどのように流れていき、それぞれのポイントでどのような作業が発生しているのかを事細かにアウトプットして整理・可視化するのです。
2.「やっているつもり」になりやすいポイント
次に多いのが、すでにデジタル化できていると思い込んでしまうケースです。
例えば、
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Excelで管理している
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メールでやり取りしている
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売上データは一応出せる
これ自体は悪いことではありません。
ただし、次の状態に心当たりがあれば要注意です。
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データが人ごと・部署ごとに分断されている
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同じ情報を何度も入力・確認している
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判断は結局ベテランの頭の中
とくに問題で、私も現場で頭を抱えることになりがちなのが、「データが人ごと・部署ごとに分断されている」ケースです。
具体的には、電話・FAXの注文を減らすために受注の仕組みにデジタルツールを導入したものの、基幹システムとの連携が取れておらず間に手動作業が発生している、とか、仕入検品をスムーズにするためにバーコード処理をしているが、加工していくにあたって何がどこにいったか追い切れておらず棚卸が曖昧、といったケースです。
この状態は、「デジタルを使っているだけで、活かせていない」典型例です。
3.差がつき始めているのは「営業力」ではない
多くの場合、食肉卸の現場で「デジタル活用」の重要性が増してくるのは、営業生産性の低下に触れたタイミングでしょう。
営業生産性の低下は、原価・物流費・人件費・光熱費など様々な経費高騰の他、
卸取引の「小ロット多品種化」といった要因も混ざり合って食肉卸業界で広く起きている深刻な現象です。
中にはそれでも売上高・利益ともに成長している卸業者がありますが、
清聴しているところと落ち込んでいるところの差は、
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営業が強い/弱い
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商品が良い/悪い
といった分かりやすい差ではありません。
私が見る限り、差が出ているのはむしろ、
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情報の持ち方
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判断のスピード
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人に依存しない仕組み
といった、裏側の構造によるところが大きいでしょう。
「生産性」とは簡易的には、「売上高(または粗利高)」÷「人数」で算出されますから、
生産性を高めようと思えば、「人を増やさずに売上高(または粗利高)を伸ばす」あるいは「売上高(または粗利高)をより少ない人で維持する」事が必要です。
同じ売上規模でも、
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常に人が足りない生産性の低い会社
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比較的余裕がある生産性の高い会社
に分かれ始めているのは、「仕組み」の差なのです。
4.小さく始めて効果が出やすい考え方
デジタル活用は、一気に変える必要はありません。
むしろ、小さく始めた会社の方が成功しています。
ポイントは次の3つです。
①まず全体像を可視化する(ここをサボっては絶対ダメ!)
どれだけ日々のルーティンが頭と体に染み込んでいようとも、ひとつひとつの業務の丁寧な棚卸は絶対にサボってはいけません。
むしろ日々のルーティンが頭と体に染み込んでしまっているからそこから抜け出せずにいる、という現状を捉えなければいけません。
②「一番ムリ・ムラ・ムダが出ている業務」を1つだけ選ぶ
アウトプットして整理ができたら、一度頭をクリーンな状態に戻して客観的に、受注、転記、確認、集計など、毎日繰り返している作業から見直します。
どこがボトルネックになっているのかをしっかりと見定めましょう。
③ 「既存のやり方にあう効率化手法の選択」ではなく「導入しやすい効率化手法にあうやり方の変革」を
理想的なのは「誰が見ても同じ判断ができる・成果が出せる状態」を作ることです。
このとき、多くの企業で「既存のやり方にあう効率化手法の選択」という判断ミスを犯してしまいがちです。
導入すべきツールの選択肢を狭めてしまいますし、100%自社の都合に合うシステムなどなかなか存在しませんから、
社内の人・モノ・カネ・情報の流れの中に新たな歪みを作ってしまいかねません。
まとめ・時流適応度セルフチェック
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デジタル活用=IT導入ではない
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「やっているつもり」が一番危ない
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小さく始めても十分に効果は出る
まずは、この事を念頭に、自社が今どの段階にいるのかを把握することが第一歩です。
その確認用として、以下のチェック項目を用意しました。
ぜひセルフチェックをしてみて下さい。
【STEP1】業務の見え方チェック
□ 受注内容は、誰が見てもすぐ分かる形で共有されていない
□ 電話・FAX・メールなど、受注チャネルが整理されていない
□ 「あの件どうなった?」という確認が頻繁には発生している
□ 売上・粗利・数量を、リアルタイム(遅くとも翌日)に把握できていない
→ 2つ以上なら要注意
業務が「人の記憶」に依存しています。
【STEP2】人依存度チェック
□ 特定の担当者が休むと業務が止まりやすい
□ ベテランでないと判断できない取引が多い
□ 引き継ぎは口頭説明が中心になっている
□ 新人が戦力化するまでに時間がかかる
→ 3つ以上当てはまる場合
デジタル以前に「仕組み化」が不足しています。
【STEP3】データ活用チェック
□ 売上データは「見るだけ」で終わっている
□ 顧客別の傾向分析はほとんどしていない
□ 値上げ・値下げの判断は経験と勘が中心
□ 過去データを使った営業戦略は立てていない
→ 半分以上当てはまる場合
「やっているつもり」状態に陥りやすい段階です。
【STEP4】ツール導入の考え方チェック
□ システム導入=大変・高いという印象が強い
□ ITに詳しい人がいないと無理だと思っている
□ 現場が混乱しそうで手を出せていない
□ まず何から始めればいいか分からない
→ ここが一番多いゾーン
ただし、最も改善余地が大きいポイントでもあります。
※チェック結果の目安
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0〜5個該当
→ すでに一定の整理はできている
次は「活かし方」がテーマ -
6〜10個該当
→ 多くの卸がここ
小さな改善で効果が出やすい段階 -
11個以上該当
→ 危険信号
忙しさが増え続ける構造になっています












