2025.03.05UP
【精肉店の勝ち残り戦略】精肉店にとって惣菜は分かりやすい独自性の表現法|食肉業界専門経営コンサルタントのブログ(2025.03.05)
目次
精肉店の未来は明るい!成長の機運を捉えよう!
近年、精肉店への関心は確実に高まっています。インターネットでの「精肉店」の検索回数は、2020年比で5倍以上、2023年対比でも213.5%増加し、年間10,981,000回もの検索が行われています。また、家庭での肉類支出額も堅調に推移し、「肉食化」の流れは今後も続くと考えられます。
出典:総務省統計局家計調査よりリライズコンサルティング(株)食肉業界経営支援チームにて作成
出典:Googleキーワードツールよりリライズコンサルティング(株)食肉業界経営支援チームにて作成
「肉食化」の流れが持続的に成長していくであろうことは、「代替肉」という存在が出てきていることからも明らかですね。
我々はもう、万が一にもそれが「畜肉」ではなくなってしまったとしても「肉」からは逃れられない食文化を歩んでいます。
そうした消費者の根源的ニーズを支える食肉専門店としての精肉店の存在価値は高く、今後も多種多様なニーズの出現とともに発展していくことで継続的な成長を目指すことができるでしょう。
この追い風を活かし精肉店がさらに成長するためには、量販店との差別化が不可欠です。
特に、売り場の「陳列」は、お客様に店の価値を伝える重要なポイントです。
本日は、「量販店と差別化する惣菜陳列戦略」 をテーマに、専門店ならではの強みを活かした売り場づくりのポイントを解説します。
精肉店の惣菜は「専門性+できたて+特別感」が武器!
量販店の惣菜売り場は豊富なラインナップが強みですが、「大量生産の画一的な味」「時間が経った状態で販売される」などの弱点があります。
一方で精肉店の惣菜は、「肉の専門性」「できたて感」「ここでしか買えない特別感」 を前面に打ち出すことで差別化が可能です。
1. 「専門店ならでは」を演出し、購買意欲を高める
専門店ならではのこだわりは、「素材」「製法」「作り手の想い」の3つで明文化しましょう。
✅ 素材へのこだわり例
- 「〇〇牛のメンチカツ」「黒毛和牛のハンバーグ」 など、原材料のこだわりを明確にし商品名に入れる
- 「プロが選んだ肉を使った専門店の惣菜」という価値を伝えるPOPを設置する
そういえば最近、コンビニスイーツのパッケージを見ていても、妙に商品名が長いものが増えましたよね。
スーパー業界で独自性を発揮して元気いっぱいやヤマダストアーさんでは、
『肉のレア感を楽しむローストビーフこそ国産もんにこだわりたい国産牛ローストビーフ』
という名前をつけて販売しておられました。
✅ 製法へのこだわり例
- 「揚げたて」「焼きたて」の提供 を強化し、ライブ感を演出する
- 時間ごとの焼き上がり・揚げ上がり時間を掲示 し、できたてを買える安心感を提供す
最近私の周りでは「”米油使用でヘルシー”という暖簾を掲げると集客力がアップした」という事例もでてきています。
あるいはハンバーグには「焼くだけ簡単プロの味」という案内も効果があった、という声も。
✅ 作り手の想い発信例
- 「この道〇年」「〇〇回の試行錯誤でできた逸品」といった苦労話 を発信する
- 商品名の冠にブランド名をつける
ある関係先様では、これまで「コロッケ」として販売していたものを、特別に「〇〇(ブランド名)コロッケ」という名前に変えることでお客様から見たときに明らかに他の惣菜類よりも力を入れている目玉商品だという事が伝わりやすくなり、売上が上がった事例があります。
お客様はやはり「売り手が自信を持っているもの」を買いたいですからね。
⭐ ただし、お客様の「ベネフィット」として伝えることがとても大切!
最もよくあるダメな例は、
1位:「原材料にこだわっています」といった曖昧な表記
2位:「国産小麦を使用しています」といった、だから何なのかが分かりにくい表記
です。
作り手の勝手な思い込みではなく、「お客様にとってどんな得があるのか」をしっかり伝えなければいけません。
たとえば、
「ツナギにパン粉を使用していません」ではなく「肉の味が濃い」とか「小麦アレルギーでも安心」といったように、
ベネフィット(利益)をしっかりと提示してあげましょう。
2. 「出来立て感」を演出し、購買意欲を高める
スーパーの惣菜はパック売りが中心で、「温かみ」や「できたて感」が伝わりにくいのが特徴です。これを払しょくするために最近は「16時以降に作りました」などのようなシールを貼る対策が一般的になっていますね。
精肉店の惣菜はそれよりもさらに「鮮度」を重視した陳列を行うべきでしょう。
✅ 鮮度を強調する
- 「産地直送」「市場直送」などのようなワードを盛り込み、素材の新鮮さをPRする
- 「ご注文いただいてから揚げます・切ります」といった、製造タイミングによる新鮮さをPR
✅ ダイレクトに感じられる演出をする
- ガラスケース越しに調理風景を見せる ことで、食欲を刺激する
- 湯気の立つ商品を見せるスペースを設ける ことで、「できたて」を視覚的にアピールする
✅ お客様が選びやすいディスプレイにする
- 量販店のパック惣菜とは異なり、「対面販売」を活かし、お客様と対話しながら販売 する
- 「おひとつから購入OK!」のPOPを設置 し、気軽に試せる仕組みを作る
3. ついで買いという「特別な体験」を促す
ストレス発散法としても「散財」がとても人気ですが、非計画な思いがけない買い物は、多くの消費者にとって実はとても魅力的で楽しいものです。
これを促進するのは、お客様の自発的な購買活動に対して斜め上から降ってくる新たな情報です。
例えば自分が買い物をしているときに、そばにいた別の客と店員がある商品についての会話をしているのが聞こえてきて、その商品に興味を持つということはありませんか?
或いは、試食につられてつい買ってしまった経験、値下げにつられてつい買ってしまった経験、というのも同じことです。
✅ ゲリライベントを開催する
- 「緊急開催!今から1時間限定、メンチカツ10円引き」といった不定期イベント を開催する
- 「精肉量り売りの会計がゾロ目なら惣菜クーポン進呈」などのような抽選イベント を開催する
✅ いまだけ、ここだけの限定商品を展開
- 「店主厳選!プレミアム焼肉セット」「数量限定!希少部位食べ比べ」など、量販店では買えない特別感をアピール
- 特定の曜日限定で、「特売」や「特別メニュー」を展開し、来店動機を作る
✅ プレミアム体験を提供する
- 「〇〇円以上お買い上げで特製タレプレゼント」など、ちょっとした特典で特別感を演出。
こうした体験を通じて、「いつ来ても楽しいお店」「今日はどんな特別な体験があるだろうか」といったワクワク感を育んでいきましょう。
次回は「精肉店の人材採用戦略」についてお届けしますので、お楽しみに!
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リライズコンサルティング株式会社
コンサルティング事業部
食肉業界支援チーム
チームリーダー/シニア経営コンサルタント
吉田 圭良 Keisuke Yoshida
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