地元食材にこだわる老舗和菓子店。
地方の人口減少に危機感を抱く。
創業100年を越える老舗和菓子店「あわづや」。新潟県中央部に位置する見附市に店を構え、「新潟の米」にこだわる和菓子づくりを家族4代に渡って受け継いできた。
現・代表取締役の渡辺慶明氏は東京の大学で経済学を学び、食品関連の企業3社で経験を積んだ後に「あわづや」に入社。父である先代から和菓子づくりを学ぶ。
入社して6年後、代表に就任。地方の人口減少に危機感を抱き、結婚式場やスーパーなど見附市外の販路を拡げていくものの、地方での販路拡大には限界を感じていた。「県外への新店舗出店はリスクが高い。現在の店舗を拠点にあわづやを続けていくためには、EC販売に乗り出す必要があると考えました」と渡辺社長は当時を振り返る。
「まず、ホームページビルダーでお店のホームページを自作しました。ショッピングカートもなくて、電話やFAXでの注文の際、インターネットで商品の写真を確認していただく程度の補助的な位置づけのものです。2008年頃、初めてプロにホームページの作成を外注しましたが、それもカード決済ができないレベルのものでした。」
この頃のEC販売では、店舗の「あわづや」を利用したことのある既存のお客様による購入が大部分を占め、売上高も総売上の1%にも満たなかった。
その後、ショッピングカート付きの現在のホームページへと移行し、大手ECモールへの出店を果たす。「現在ほどEC販売の市場規模が巨大化していない時代。お子さんの一歳の誕生日祝いの行事に使う‟一升餅”など、あわづやの主力商品がよく売れましたね。」顔の見えないお客様とのやりとりにトラブルも多かったが、商品の取り扱いや配送方法・期限など、ひとつひとつ手探りでノウハウを蓄積していった。
地元で愛され続ける「あわづや」の味を求めて、
毎日多くの人が訪れる。熟練の職人による作りたての和菓子や赤飯が人気。
午後早くに完売することも多い。一歳の誕生日を祝う「一升餅」。写真入り名前シールやポケットつきゼッケンのオプションも。